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第8回 蜂蜜エッセイ応募作品

お父さんのはちみつ

野ウサギ

 

 今年も実家からお歳暮が届いた。父がいつものように気をきかせて送ってくれたのだろう。毎年、手を変え品を変え、様々なものが届く。今年のお歳暮は、はちみつだった。中を開けてみると、琥珀色に輝くはちみつが中に入っていた。
 うちの両親は、わりと心配性で、一人娘の私が嫁ぎ先でうまくやれているか、いつも案じていた。はやく義実家になじめるように、大切にしてもらえるように、お中元やお歳暮、季節の果物を送ってくれたりしている。そのたびに、私は父から愛されているのだと実感する。
 小さい頃は、仕事に忙しい父から大切にされていないように感じ、不満を抱えることもあった。旅行に連れて行ってくれない、休みの日はいつも寝てばかりだ、とか。今思うと仕方のないことばかりだったが、友達と比べ、父から大切にされていないと不満ばかりだった。
 大人になってから、父との関係は変わっていったと思う。どうしようもない小さい子供だった私は、大きくなるにつれて、父のことを尊敬するようになった。仕事に真摯に打ち込み、誠実で誰にでも頭をさげることのできる腰の低いところは真似したくてもできない。そして、老いた今も、私のことを一番に考え、守ろうとしてくれる。
 毎朝、義両親と夫と共に食べるはちみつトーストは、心配性の父の優しい味がした。これを毎日食べていると、今日も一日がんばろうと思える。父の優しさがはちみつを通して、体に染みわたり、私のエネルギーとなる。
 今年の私たちからのお歳暮は何にしよう。両親はどんなものをよろこぶだろうか。父からのお歳暮のお返しをするのが、私の冬の楽しみになった。おせんべいは固いからいけないし、だしパックは去年おくったし、と悩ましい。いつも両親の喜ぶ顔を想像しながら、精いっぱい考えたものを送ろう。おいしいはちみつをありがとう。今日も一日頑張れます。

 

(完)

 

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